大麻の安全性を主張する文章のオソマツさ
大麻の安全性とかいう文章が,ときどきネット上にあったりする。
ちょっと読んでみればわかるが,そのほとんどが学術的なトレーニングを経ていない人の文章であり,読むに値しない。
似非科学な文章ほど,読んでいて辛いものは無い。
大麻関係のその手の文章によくある表現について,以下に列挙してみた。
> 欧米の最新の科学的研究に基づき
出羽守的な論調が,まず最初にくるのが特徴である。
中身は空っぽな文章,筆者自身が理解していない文章ほど,とりあえず 『欧米の』 『最新の』 などというコトバが入るものである。
> Herkenham らによる大麻受容体の発見
あたかも脳内に,大麻の受容体が存在するような書き方であるが,それは間違いである。
受容体とは何か,アゴニストとは何か,ということがまるでわかっておらず,生理学の試験をすれば落第である
> ニューロンは情報を作成,統合,伝達する,体内で最も高度に分化した神経細胞である。
まるで,ニューロンが神経細胞の一種であるような書き方をしている。 ニューロンでない神経細胞があるというのか?
『ニューロンとはすなわち神経細胞であり,神経情報を作成,統合,伝達する,高度に分化した細胞である』 と書くべきである。
もしかしたら,ニューロンという概念を理解していないのでなく,基本的な国語力が欠落しているのかもしれない。
いずれにせよ,こういう恥部のような表現が散りばめられた論文というのは,説得力は皆無なのである。
失格。
> 神経伝達物質はニューロン間の間隙をつなぐことによって,ニューロンの相互コミュニケートすることを可能としている。
実におかしな書き方してる。 どこかの翻訳サイトで和訳したかのような,変な文章である。
神経伝達物質がシナプス間隙をつなぐとは一体どういうことか?
勉強不足以前に,日本語すら満足に書けないようだ。
> ニューロンは神経伝達物質毎に数千のオーダーの受容体を持ち,各々の神経伝達物質は脳に対して多様な影響を与えることができる。
これも,まったくおかしな書き方してる。 脳は神経細胞で出来ているのであり,神経細胞が神経伝達物質を放出して,互いに作用しあうのだ。 それが 『神経伝達物質が脳に影響を与える』 とは,まさに堂々巡りであり,文としての存在意義がまるで無く,あたかも字数と漢字数を増やすために埋めあわせたような文である。
このように神経生理に関する基本的な概念を説明する段階で既にロジックが破綻しているとは,一体どういうことだろう。
あまりにお粗末としか言いようが無い。
> ドーパミンは神経伝達物質の一種であり、非常に強い多幸感をもたらす。
ドーパミンが放出される部位によって,その作用はさまざまであって,何も多幸感をもたらすための伝達物質というわけでは無い。
まったく,神経伝達物質というものの概念が,まるでわかっていないような書き方である。
強化学習に関与すると言われているだけで,べつに脳に限らず脊髄でもドーパミンが重要な役割をもつことは知られている。
脳の報酬経路でのドーパミン放出が多幸感の発生に関与するといわれているだけである。 だからといってドーパミン=多幸感供与物質というわけではない。
> ドーパミンを遊離する神経性機構は「脳の報酬システム(brain reward system)」と呼ばれれている。
これも前回と同様の間違ったステートメントだ。 『脳の報酬系』 にドーパミン作動性のニューロンが多く集まっていると言うべきであり,何もドーパミン作動性ニューロンの神経機構が報酬系なのではない。 論理がひっくり返っている。
そもそも,ドーパミンを 『遊離する』 なんて言い方はしない。 ふつう神経伝達物質というのは 『放出』 されると言う。
それ以前に, 『神経性機構』 って一体何だ? 書いた本人すらよく意味がわかっていないのだろう。
神経生理学についての基礎知識がまるで無いような人が書いた文章であることは明らかだ。
> コカインはそのドーパミンの再取込を妨げるため、バイオフィードバック機構の欠如によって脳はドーパミンを生産し続ける。
もう,だんだん添削するのが疲れてきた。 何だろう,バイオフィードバック機構とは一体何のことであろうか?
コカインの作用はがドーパミンの再吸収を阻害するのは正しいけれど,それがどうしてドーパミンの生合成が促進されるのか? 放出されたドーパミンが細胞外に長く残留するのであって,ドーパミンが生産されるのではない。 これと似たような間違いが,この後も続くが,論理の破綻以前に,これを書いた筆者がいかに無知であるかが露呈されている。 もう一度基本から勉強しなおした方がよい。
> ラットへの薬物投与により誘発されるドーパミンの生産をミクロ透析によって計測する研究においては、アヘン剤、コカイン、アンフェタミン、ニコチン、アルコールの全てがドーパミンの生産に影響を与えたのに対して、大麻は影響を与えないことが証明されている。
すなわち、大麻に依存性が無いことが証明されたのである。
ドーパミンの生産という細胞レベルの話から,依存症という個体レベルへと,論理が飛躍しており,その間をつなぐ説明が全くなされていない。 というより,おそらく筆者は自身の論理が飛躍していることにすら気づいてはいないのだろう。
はっきりいって,アタマの悪い人の文章であるとしか言いようが無い。
この筆者の理解レベルは,ドーパミン合成量の増減=依存症の有無,あるいは多幸感の有無,という短絡的なもののようである。
> 大麻はドーパミンに影響を与える他の依存性ドラッグとは異なるメカニズムでハイに達することから,依存性ドラッグへのゲートウェイ・ドラッグにはなり得ないと言えるのではないか。
なんだか意味不明であるが,筆者の論理は結局 「メカニズムが違う」 から 依存性にはならない,ということらしい。
GABA作動性の抑制性ニューロンの役割や,二次達物質のはたらきに関してはまるで空白であり,自分が勉強不足であるところは,とりあえず蓋をしてしまえ,というような論調である。
以下,まだまだ続くのだけど,もう充分だろう。
はい,リジェクト。
ようするに 『大麻の安全性』 などと説いてるような文章というのは,概して論文と呼べるようなモノは何一つない。
読むだけ時間の無駄であった。
学生の6割「大麻手に入る」 県立大意識調査 広島
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101029-00000084-san-l34
マリフアナ合法化、住民投票でNO!…米加州
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101103-00000514-yom-int
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